small voices parade
「はじめのはじめ」と「はじめに」
はじめのはじめ
small voices paradeという、プロジェクトと呼べるのかどうかもわからないようなものを思いついて、このサイトを立ち上げたのは2003年の2月の半ばでした。
アメリカ合衆国がイラク攻撃を開始する日はもう秒読み、と言われていた時期です。
メディアは毎日のように状況を報道し、「戦争が始まる」というフレーズが一日中繰り返されていたとき。
「戦争? 一方的に攻撃を始めるのは戦争とすら呼べないんじゃないのか?」と、メディアが軽々しく使う言葉に憤り、でも何をしたらよいのかと悶々としていました。
戦争反対とか不戦とか非戦とか、そういう大義なことからではなくて、(もちろんそういうことは大事であるけれども!)もっと日常のところから何かを言いたい、という話から始まったこの企て。賛同してくれた人もあったけれども、あまり広げることもできずにそのままになってしまいました。
そして4年。その間に「戦争」の発端となったものは「なかった」とされ、攻撃の対象だった人物は殺され、そして今でもイラクでは「混乱」が続き、そしてわたし(たち)はそのことを忘れてしまっているかのよう。
何かが変わったのか、というと、よいように変わったとは思えません。むしろどんどんといやだなあと思う方へと風は吹いていっているように思えます。

ということで、もう一度このサイトを立ち上げようと思ったのでした。

ささやかな喜びのある生活をこわされたくないし誰かのその喜びも奪いたくない、みんながそう思えばちっとはましになるんじゃないかと、やっぱりそう思いたい。その気持ちは変わりません。
2007年7月



この「はじめに」は2003年当時のままの文章です。
はじめに
「緊迫した」という言い方は好きではないけれども、まさにそんな状況、もしくは「どんどん緊迫させられていっている」と言った方がむしろ正しいようなこの状況に対して、おなかの中にやりきれないものを抱えながらも、何かを具体的に行うでもなく、大きく声をあげるでもなく、むーんとうなるばかりで日々を過ごしています。

けれども、なんとかしてこころの中のそうしたおもいをかたちにして出し、ひとに伝え、何らかのアクションにつなげていく、そういうことをしなくてはだめなのでは、という気持ちが日に日に強まってきました。
そこでこんなものをはじめてみました。

うまく声に出しては言えないものだったり、よく耳にするスローガンにはめこんでしまうにはどこか違うなというものだったり、いつもはよく考えてみてもいないものだったり、そういううごめくおもいや気持ちや考えや憤りを誰しもこころの中に持っているもの。
それをほんの少しでも誰かに伝わるかたちにしてみようぜ。

と、いうのが「small voices parade」の趣旨です。

うまく言えないことはうまく言えないかぎりはしまっておく、というのはある意味ではとても誠実な態度だとわたしはおもいます。イエスかノーかを決めるだけではなく判断をあえて保留にしておくということも。でも、そればっかりではどうにもならないことも多々あるのもまた真実で、動いてみて実際に何かが成し遂げられてなんぼということの方が多いのも事実。と、自省しながら思います。

実際、正直なところ、わたしには、イラクが核兵器を持っているのかいないのか、とか、はたして悪意を持つくにやひとなんていないのか、という形式の問いに対しては、はっきり「そうだ」とも「違う」とも答えることはできません。
それでも、いまのこの状況に対しては「何かおかしい」とこれははっきりとそうおもうのです。

四つ葉のクローバーはしあわせのシンボル。
「三つ葉のクローバーがそうだったらみんなしあわせになれるのにね」
あるひとがふっとそんなことを言った。

「ほんまだね、それいいね」と笑ったのだけど、それはほんとにそのとおりで、しあわせなんてものもきっとそういうもので、必死で4枚葉っぱを探さなくても、そこら中にある3枚の葉っぱのクローバーの中に気に止めもしないほどふつうにあるような、そんなものなんだろう。

攻撃を行う、「制裁」を行う、武力行使に訴える、兵器を開発する、兵器を保有する、どんなことばを使ってもどんな理由をつけても結局は同じこと。その暴挙に対して憤りを感じ、「絶対やるな、ばかやろう!」と叫ぶのは、誰がいいとか悪いとかそういうことではなく、三つ葉のクローバーのようなふつうに生きている中でのなにげないしあわせというのを壊してしまうこと、壊されてしまうこと、そして壊されるままにしてしまうことが許せないからです。

「三つ葉のクローバーのようなありふれた日々の生活とその中にあるなにげないしあわせを守りたい」
「それを壊すすべての暴力に対して反対し抵抗する」

これがわたしたちのこころのこえです。
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